追憶 〜あるいは大宇宙オフレポ序文

「N◎VAのカット進行はせいぜい1カット。後は神業進行で」
最近、こんな言葉が頭の中に入っていた。
具体的に誰が言っていたとか、どこのプレイグループではとか、そういう類の話ではない。誰かとそんな話をしたような気もするけれど、そんな瑣末事はどうでもよくて、とにかく俺の頭の中にそんな言葉があった。

マジか。
落ち着け。


1カットで終わる? 冗談じゃない。
誰だ、そんなことを言い出したヤツは。


じゃあ何か、お前――そう思っている誰かだ。誰でもいい。ひょっとしたらこの世に一人もそんなヤツはいないのかもしれない。それならそれでいい。これは端から妄言の類だ――お前は、あれか。「次のカットから有効」になる特技や装備を持ったことが無いのか。持っているキャストは一人もいないのか。持っているゲストは作ったことが無いというのか?


全部Yesで答えるヤツはそれでいい。お前は正しい。
だが、一つでもNoのヤツはどういう了見だ? 1カットで終わるならいらないだろう、そんなものは。今すぐプロファイルシートを破り捨ててしまえ。本当に1カットで終わらせる覚悟で作られてないキャストなんざあ……。


何の話だったか。そう、カット進行の話だ。


「N◎VAのカット進行はせいぜい1カット。後は神業進行で」
とにかくこんな言葉が頭に入っていた。
何という、堕落。そう、堕落だ。堕落に他ならない。スタイルを捨てた、あるいは忘れた人間に、N◎VAをやる資格があるだろうか。


いや、無い。


思い出せ。
思い出せ、あの頃を。
ゲストが強くて当たり前だったあの頃。
経験点の無いヤツはあの卓に行くな、と言われていたあの頃。
クライマックス前の休憩でPLたちが残り経験点――すなわち命の計算をしていたあの頃。
「ゲストが強すぎませんか」と言われて「ゲストは経験点を使えないからいいんだ」と返したあの頃。
「経験点を使いすぎました」と言われて「じゃあRLをやればいいじゃない」と返したあの頃。
「経験点を使わせすぎです」と言われて「じゃあ使わなければいいじゃない」と返したあの頃。
「もう経験点がありません」と言われて「トータルエクリプスでも買いに行く?」と返したあの頃。


とにかくゲストが強い、と言われていたあの頃。
それが自分のスタイルなんだ、と思っていたあの頃だ。


OK、少しは目が覚めた。じゃあ、訊いてみようか。


「N◎VAのカット進行はせいぜい1カット。後は神業進行で」


『お前は何を言っているんだ』


――つづく。たぶん。