荒川サイクリングロード

夕飯食べた後に行って来た。


端緒

どうやらギアの組み合わせ次第で、上り坂もそれなりにいけるらしい……そんな話を聞いた俺は、ちょっと試してみたくなった。
「よし、ちょっと行ってみよう」
どうせ頻繁に使うんだ、飛鳥山の坂……いや、動坂の方でもいいな。
「何でもいい、とにかく坂を上がってみよう」
そんなことを考えながら支度をして自転車にまたがる。そうだ、ドラッグストアでヴァームでも飲んでいくか。ちょっと反対方向になるが、まぁいいだろう。
近所のドラッグストアに行ったはいいが、もう今日の営業は終わっていた。
「なんだ……案外早く閉まるんだな」
しかしどうしたものか。コンビニに置いてあればいいが、再び走り出すともう停まるのが面倒になっていた。さらには当初の目的地方面へ引き返すのすら、なんだか面倒になってきていた。
「ん? この道をこのまま行けば荒川方面か……」
……。
「よし、今日は荒川サイクリングロードに行ってしまおう」


第一と見せかけて第二のトラブル

お、隅田川を渡る橋の手前は、ちょっとした坂じゃないか。ちょうどいい。軽めのギアに入れて試してみるか。
ガチャリ。(スカッ)
「あれっ!?」
おかしい。ペダルを空踏みするってことは、チェーンが外れたのか?
こんな橋のど真ん中で厄介な……とりあえず端で停まって、自転車を持ち上げ柵を乗り越えて歩道側へ。見てみれば、フロント側でチェーンが外れていた。仕方がない。手袋を外し、素手でひっつかんで元に戻す。汚れはティッシュで拭き取る。完全にはキレイにならないが、仕方ない。そうだ、今度から軍手とビニール袋を持って行くことにしよう。我ながらいいアイデアじゃないか。
……。
……。
最初からティッシュで掴めば良かったんじゃねえの!?


第二と見せかけて(ry

その後おっかなびっくりペダルを踏みつつ進んだが、特にチェーンやギアがおかしな様子は無い。
「でももう前輪は"1"にしたくないなあ……」
少し進むと、荒川に出た。
「案外近いんだなあ」
お、このスロープから入っていくんだな。
……ん?
「立入……禁止?」
ううむ、どう見てもこのスロープから入っていくように見えるんだが……。ロープが張ってあって、「立入禁止」の札が下がっている。
禁止というのだから禁止なんだろう……どうも暗くてよく分からないが、下の方は工事をしてるっぽいしな。
「仕方ない、あそこから入ろう」
結局、階段を下りていくことになった。脇にはスロープがあるから、自転車はそこの上を通らせればいい。


荒川サイクリングロード

ふむ、これが……。なるほど、舗装路が続いている。
「よし、とにかく行ってみるか」
河口方面へ向かって走り出す。交差点も信号もなく、ひたすら道なりに真っ直ぐ走ることができる。
「ううん……これは快適だ」
でも、どこまで行っても景色が変わりばえしない……そういう意味では面白みがないかもしれないな。夜だから仕方がないのだろうが、道も暗い。遠くに街の明かりがあるし、橋の近くに行けば車や電車の往来があるから、田舎道よりは明るいが。
「当たり前だけど、どこまで行っても道なんだな」
たまにウォーキングやランニングをしている人、やはり自転車に乗っている人に出くわすが、思っていたより数は少ない。時間帯が時間帯だから、か。


怪現象

しばらくして気づいたこと。少し後ろで、ずっと何か音がしてる。機械的な音ではなく「バタバタ……」という感じの音だ。足音に似ているような気もする。
「足音……? まさか」
振り返っても、もちろん後方には誰もいない。音も止む。
「気のせいか……風の音かな?」
前を向いて走り出すと、再び「バタバタ……」と音がする。
「……?」
もう一度振り返ってみる。視界の端を、何かがよぎる。
「……なんだ、今のは」
更にもう一度振り返ってみる。やはり、視界の端を、何かがよぎる。黒く、長い何かだ。
それは……。


「なんだ、バックパックのベルトか……」
なんてことはない、バックパックの脇にあるベルトが風になびき、本体に当たっている音だった。脇にあるベルトは厚みを調整するためについているんだが、何も入っていないから最大まで締めてある。なので、だいぶ余っている。これの音だったのだ。
「幽霊の、正体見たり……ってやつだな」


折り返し

ひたすら漕いでいた俺だったが、そろそろ飽きてきた&尻が痛くなってきた。尻が痛くなる原因は何なのだろうか。慣れの問題なのか、俺の乗り方が悪いのか……。そんなことを考えていると、何だか明るい場所に出た。
「なんだ……駅?」
堀切駅、と書いてある。
「うん、いい目印じゃないか。ここで折り返すとしよう」
俺は来た道を戻ることにした。
「それにしても……痛くなる前に戻るべきだったんじゃないかな」


第三と見せかけて(ry

「さて、引き返してきたはいいが……どこから入ったんだっけ?」
どうにも似たような景色ばかりで、今ひとつ記憶に残っていない。
……。
結局、少し行き過ぎて戻るハメになった。
ちなみに、入るときに立入禁止だったスロープは普通に下から上って行くことが出来た。


第四と見せかけて(ry

「よし、帰りは違う道を行ってみようじゃないか」
どうせ真っ直ぐいけば明治通りにぶつかるだろう。そうすれば帰るのは簡単だ。
……。
変なところで曲がったため、少し迷った。というか、真っ直ぐ行ったのに曲がる道しか無かったんだ。


帰宅

そんなこんなで無事帰宅。荒川サイクリングロードはなかなか快適だった。
晴れた休日の昼間にでも行ってみたいけれど、昼間はもっと人がいるんだろうなあ。